「上司にはあんなに愛想がいいのに、私にはずいぶん冷たいな」
職場で人によって態度を変える人を見ていると、態度そのものよりも「なぜ私にはその接し方なの?」という部分が気になってしまうことがあります。上の立場の人には笑顔なのに、自分にはぶっきらぼう。気に入っている同僚には親切なのに、こちらには必要最低限の返事だけ――そんな差を目の前で見せられれば、モヤモヤするのも無理はありません。
とはいえ、相手の態度の理由を突き止めようとしたり、こちらも冷たく返したりすると、かえって相手に振り回される時間が増えてしまいます。
職場で人によって態度を変える人への基本的な接し方は、「相手が誰にどう接するか」と「自分がどう仕事をするか」を分けることです。相手の機嫌ではなく、自分の基準で接するための方法を整理していきます。
上司には愛想がいいのに自分には冷たい…まず「私の価値」の話にしない
上司が来た途端に声のトーンが変わり、笑顔で「お疲れさまです!」。その数分後、自分には「はい」「そこ置いといて」と素っ気ない返事。
こんな場面を見ると、「私は軽く扱われているのかな」「私だからこんな態度なのかな」と考えてしまいます。
ただ、ここで一度分けておきたいのが、相手の態度と自分自身の評価は同じではないということです。
人によって接し方を変える理由は、本人にしか分かりません。立場を気にしているのかもしれませんし、単純に相手との親しさが違うだけかもしれません。
確かなのは、「上司には丁寧で、自分には冷たかった」という事実までです。
そこから「私は価値の低い人間だと思われている」とまで話を広げると、相手の態度以上に自分自身を傷つけてしまいます。
まずは心の中で、
「この人は相手によって態度が違う。それ以上の意味は、今のところ分からない」
くらいに止めておくと、余計な消耗を減らしやすくなります。
相手を観察するなら「心理」ではなく「パターン」を見る
「あの人はどういう心理なんだろう」と考え続けても、答えが出るとは限りません。
それより役立つのは、相手の態度が変わるパターンを見ることです。
たとえば、
- 上司や取引先の前だけ丁寧になる
- 後輩や反論しない人には強くなる
- 忙しいときは誰に対しても口調が荒くなる
- 特定の人にだけ連絡や情報共有が雑になる
では、問題の種類がかなり違います。
忙しいときに誰にでもそっけなくなるのであれば、「人によって態度を変えている」というより、その人の余裕のなさが表れている可能性もあります。
一方で、自分にだけ必要な情報が伝えられない、仕事を押しつけられるなど、業務上の差まで出ているのであれば、単なる「感じが悪い人」として受け流さないほうがよいでしょう。
つまり見るべきなのは、**「なぜそんな性格なの?」ではなく「仕事にどんな影響が出ている?」**です。
人によって態度を変える人ほど、こちらは態度を変えない
相手が機嫌よく話してくれる日は、こちらも親しく話す。冷たい日は、こちらもムッとして距離を取る。
これを続けていると、いつの間にか自分の振る舞いまで相手の機嫌次第になります。
そこで意識したいのが、こちらの温度をなるべく一定にすることです。
朝は普通に「おはようございます」。
仕事を頼まれたら「承知しました」。
確認が必要なら「確認してからお返事します」。
相手が今日はニコニコしていても、昨日は冷たくても、こちらは必要な対応を大きく変えない。
少し見方を変えると、**「人によって態度を変える人に対抗する一番静かな方法は、自分は人によって態度を変えすぎないこと」**とも考えられます。
これは相手に優しくし続けるという意味ではありません。
相手の機嫌に合わせて自分まで上がったり下がったりしないための、いわば「自分側の定位置」を決めておくということです。
冷たい態度を取られたら「態度」ではなく用件だけ受け取る
人によって態度を変える人から冷たく言われると、内容より言い方が気になります。
「これ、今日中だから」
と言われた瞬間に、「なんでそんな言い方なの?」と思ってしまうこともあるでしょう。
もちろん、不快に感じることまで無理に消す必要はありません。
ただ、その場では言葉の温度より、仕事上必要な情報だけ拾う方法があります。
「今日中ですね。優先順位を確認してもいいですか?」
「承知しました。完了したら共有します」
「どの部分まで対応すればよいでしょうか?」
このように、相手の態度にコメントせず、仕事の内容へ戻します。
心の中ではムッとしていても構いません。
感情を持つことと、その感情のまま返すことは別です。
「感じ悪いな。でも、今は期限だけ確認しよう」と切り分けられると、会話が必要以上に長引きにくくなります。
「上司にだけいい顔する人」に腹が立ったときの整理法
特にイライラしやすいのが、自分には横柄なのに、上司が現れた瞬間だけ別人のようになるケースです。
「さっきまでの態度を上司にも見せてよ」と言いたくなるかもしれません。
そんなときは、次の3つに分けてみます。
事実
上司には丁寧に話していた。自分には強めの口調だった。
自分の想像
上司には媚びている。自分を下に見ている。
自分ができること
必要な仕事は普通に対応する。無理な依頼は確認する。重要なやり取りは残す。
ここでポイントになるのは、「相手の本性を暴く」を自分の課題にしないことです。
上司がいつ気づくか、周囲がその人をどう評価するかは、自分ではコントロールできません。
一方で、仕事をきちんと進めること、依頼内容を確認すること、自分の対応を安定させることは、自分で選べます。
相手を観察する時間を、自分の仕事に戻す。
地味ですが、長く働くうえではこちらのほうが自分を守りやすい方法です。
都合よく仕事を頼まれるなら「いい人」で受け続けない
人によって態度を変える相手に対して、「波風を立てたくないから」と頼まれたことを全部引き受けていると、さらに頼みやすい相手になってしまうことがあります。
そんなときは、断る・確認するための言葉を用意しておくと便利です。
「今〇〇を進めています。どちらを優先しましょうか?」
「今日は難しいのですが、明日の午後なら対応できます」
「私の担当範囲はこちらまでという認識ですが、合っていますか?」
「一度、上司に優先順位を確認しますね」
ポイントは、「あなたの頼み方がおかしい」と相手を責めるのではなく、仕事量・期限・担当範囲の話にすることです。
相手が誰にどんな態度を取る人であっても、仕事上の条件なら淡々と確認できます。
周囲に「あの人って裏表あるよね」と言い回らない
人によって態度を変える人を見ていると、「これ、私だけが気づいているの?」と誰かに確認したくなることがあります。
信頼できる同僚に相談すること自体は問題ありません。
ただ、「あの人って上司にだけいい顔するよね」「性格悪いよね」と周囲に同意を求め始めると、こちらまで人間関係の対立に巻き込まれる可能性があります。
相談するときは、
「〇〇さんからの連絡が私にだけ来ないことが何度かあって、仕事に影響が出そうなんだけど、どう対応したらいいと思う?」
のように、具体的な出来事に絞ったほうが安全です。
「その人をどう評価するか」ではなく、「仕事上どう対応するか」を相談する。
この違いは意外と大きいものです。
態度の違いが仕事に影響するなら記録しておく
「上司には愛想がいいのに、私にはそっけない」というだけなら、不愉快ではあっても、必ずしも大きな問題とは限りません。
しかし、
必要な情報を自分にだけ共有しない、特定の人だけ仕事を押しつけられる、皆の前で繰り返し強く責められる、評価や仕事の機会に明らかな差が出ているなど、業務への影響がある場合は話が変わります。
その場合は、「態度が悪い」と記録するより、
「8月〇日、〇〇の変更について私に共有がなく、作業のやり直しが発生した」
といったように、日時・出来事・仕事への影響を残しておくと状況を整理しやすくなります。
必要になったときは、上司や人事など第三者へ「この人が嫌いです」ではなく、「こういうことが続き、業務上困っています」と相談できます。
相手への好き嫌いと、仕事上の問題は分けて扱うことが大切です。
まとめ|相手の態度ではなく「自分の基準」で付き合う
職場で人によって態度を変える人がいると、「なぜ私には冷たいの?」と気になってしまいます。
けれど、相手の態度の理由を考え続けても、本当のところは分からないことがあります。
それよりも、相手の態度と自分の価値を切り離し、「実際に何が起きているか」「仕事に支障があるか」「自分はどう対応するか」を分けて考えるほうが、自分の負担を減らしやすくなります。
明日から一つ意識するなら、相手がどんな態度でも、自分の返し方を大きく変えないことです。
「承知しました」「確認します」「優先順位を確認してもいいですか」。
必要なことを、必要な温度で返す。
相手の態度まで自分が引き受けなくても、仕事はできます。


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